はい、もう年明けから三が日どころか一週間ほど経ちそうなタイミングですが、新年一発目の記事でございます。
ってことで、今年も今年とて西尾維新厨の私にとっては表題の件から入らざるを得ません。
劇場版・傷物語III 冷血篇
<物語>シリーズの原点にして劇場版三部作の最終作、去年から1年かけてついに完結でございますよ。
そんなわけで公開初日の本日さっそく観てきましたので、その感想というかレビューです。
例によってネタバレ全開ですので、原作や映画を観てない方はご注意をー。
ってことで、今回で完結編となったわけですけれども(そういえば熱血篇のレビュー書き忘れてた)、アララギさんが無事キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(以下キスショット)が奪われた四肢を取り返してきましたー、ってところからのスタートです。
忍野メメとアララギさんのトークシーンで、「眷属ごときがヴァンパイアハンターの3人に勝てたんだから、万全のキスショットなら余裕で勝てたんじゃないの」というアララギさんの素朴な疑問に、忍野メメが取り出したのはキスショットの心臓。
つまりキスショットが四肢を奪われる前に、忍野メメが心臓を(キスショットに気づかれず)奪ってたってことですが、そのシーンはイメージでもいいから是非とも映像にしていただきたかった!
本人の言い分通りなら「十字架を持って大蒜を持って聖水を武器に、なんとかこそこそと姿を隠して」心臓を抜いたそうなんですが、そう言われてもイメージできねーよw
で、そのあとに四肢+心臓をチャージして万全状態になり、全力で喜ぶキスショットさん。
【悲報】キスショット、はしゃぐ
ここのはしゃぎっぷりは原作でもナカナカのものでしたが、(CVの)坂本真綾さんの声が本当に嬉しそうでしたので、是非映像で観ていただきたいところですw
で、約束通りアララギさんを人間に戻す……前に、屋上で雑談タイム。
本来の原作ならばココで初代怪異殺し(死屍累生死郎さん)が初めて話題に出てくるんですけれども、TVシリーズでファイナルシーズンやっちゃってるわけなので、今更感がすごいですなw
そんな昔話をしつつ、なんか楽しい打ち上げもやりつつ、アララギさんが小腹空いたからって夜食買って返ってくると
キスショットさんがギロチンカッターを捕食していました。
いやー。 原作でこのシーン読んで、さらに傷物語が映像化決定した時点で
「あ、ココだけは絶対放送できねぇわ」
と思ってたんですが、やりやがりましたシャフト!!
もう思う存分、ガッツガツムシャムシャ食ってました。
ギロチンカッターの生首もちゃんと持ってました。(さすがに食べかけではなかった上、人形みたいなCGでしたが)
私の隣に座ってたカップルっぽい方々が
「えぇ……」
ってドン引きしてました。 そりゃそーだ。
素晴らしい。 よくやってくれた。
いや、というのも、あそこでどんだけ凄惨なシーンを演出できるかによって、その後のアララギさんの葛藤に奥行きが出るか非常に重要なシーンですし、もしあそこで謎のボカシとかモザイクとか黒齣とかで誤魔化されてたらそれこそ台ナシですよ。
そういう意味では非常に良くできたグロシーンだったと思います。 多少のグロ耐性があれば観ておくべきです。
で、「吸血鬼は人間を食料として喰う」というごく当然の状況に苦しむアララギさん。
そりゃまぁ、自分が命を助けた相手は最強の連続殺人鬼、とかマジでトラウマになりますわな。
しかも自分がその連続殺人鬼になりかけてるわけですし。
そんなこんなで悩んでるところに、羽川委員長の助け舟が!
・・・はい、ここでもう一度言っときます。
よくやったシャフト! 相変わらず頭おかしくて最高だぜ!
結果だけ言うと、「自殺も考えるまで自己嫌悪に陥ってるアララギさんをけしかけて、キスショットを退治する決心をつけさせる」というだけなんですけれど、その中の問題のシーンをキッチリとやってくれたことは評価っせざるを得ませんよ。
ていうか、天下の堀江由衣に
「阿良々木くん! ど、どうか私のノーブラおっぱいをモミモミしてください、お願いしますっ!」(原文ママ)
って言わせたのは本当に頭おかしい(褒め言葉です)。
あ、ちなみに先述のカップルが、
「うわぁ……」
って別の意味でドン引きしてました。 そりゃそーだ。
PG-12どころか、ある意味R-18指定食らってもいいぐらいに素晴らしい出来でしたので、未見の方は是非。
あ、間違っても親と行くなよ! 気まずい雰囲気になるからな!!
閑話休題。 えーっとなんだっけ。
そうそう、アララギさんがキスショットを退治する決心がついたところですね。
委員長からチキン判決を受けた後、キスショットとバトルするわけですが、その直前に歴代キスショット(27歳→17歳→12歳→8歳)が出てくる場面、真綾さんの声分けがマジでぱないので、そこ注目ポイントですよ。
肝心のバトルシーンは、微妙に迫力がないというか、大半が生首コロコロ転がりまくってるだけでしたので、そういう意味では熱血篇のドラマツルギーのが動きがダイナミックで良かったですねぇ。
――ともかく、吸血鬼が人間に戻る方法。
それは「自分を吸血鬼化させた主人の血を吸う」であることから、なんやかんやで(羽川委員長の横槍も入りつつ)達成しましたが、そのままではキスショットは死んでしまいます。
そしてそれこそがキスショットの望み。
四百年前に初代怪異殺しを人間に戻せなかったこと、四百年前にはできなかったこと、四百年前には死ねなかったことを四百年間ひきずっていたキスショットが、ようやく死に場所を見つけたのが、アララギさんを人間に戻して自分は死ぬ、というもの。
しかしアララギさんとしては不本意すぎる結末なので、やっぱり最後は忍野メメに頼ります。
全員が幸せになる方法を依頼するアララギさんですが、「あるわけないじゃん、そんなの。 馬鹿じゃないの」と一蹴されてしまいます。
ただし
みんなが不幸になる方法ならある
阿良々木くんは、ぎりぎりのところまで、ハートアンダーブレードを殺す。吸血鬼としての特性とスキルをほとんど奪い取る――死なない程度に。ハートアンダーブレードにはハートアンダーブレードとして、前以上に瀕死の状態になってもらう。影も形も元も子もなく、名前さえ残らないほどに。吸血鬼もどきの人間のごとき下等な存在になってもらう――どれだけおなかが減っても人間は食べられない、そんな存在に
阿良々木くんも、それでは人間には戻れない――けれど、すれすれまでは戻れる。阿良々木くんには人間もどきの吸血鬼のごとき存在になってもらう。吸血鬼としての特性とスキルがいくつか残ってしまうけれど――厳密には人間とは言えないけれど、だけど吸血鬼からは限りなく遠い、だから人間に限りなく近い、勿論ヴァンパイア・ハーフとも全然違う、そんな中途半端な存在になってもらう。お似合いだね
勿論、きみだって、どれだけおなかが減っても人間は食べられない。ただし……この始末だと、阿良々木くんはともかくハートアンダーブレードは栄養が足らずに餓死してしまうからね。阿良々木くんはハートアンダーブレードにコンスタントに自分の血を与え続けなければならない。ハートアンダーブレードを唯一生かし続けられる栄養素は、彼女をそんな下等な存在に落とした、きみの血肉だけだ。きみは残りの一生をハートアンダーブレードに捧げなければならないし、ハートアンダーブレードは残りの一生、ずっときみに寄り添わなくてはならない
(人間は)吸血鬼という危険な存在の退治を――諦める。力をそこまで失ってしまえば、ドラマツルギーやエピソードといった彼らは、もうハートアンダーブレードのことを探し出すことさえできなくなるからね。つまり、そういうリスクを残す。ハートアンダーブレードと阿良々木くんが吸血鬼に戻り、人を食べるかもしれないという危険度を、決して無視できない程度に残す――
何も解決してねーじゃねーか!!
・・・ということで、<物語>シリーズへと続く、人間もどきの吸血鬼と、吸血鬼もどきの人間が作られたのでした。
いやー。
熱血篇公開から1年、映画館には何度も行ったし、原作も読み返したし、円盤もモチロン買って観たし、傷物語にどっぷり漬かった感じですが、最終章ということで感慨深いものがありますな。
今回はちゃんと来場者特典の混物語も貰ったので、あと3冊ゲットするためにもまだ3回見に行きますよー!
そして円盤の副音声も実に待ち遠しい。
熱血篇は旧・副音声ヒロイン(羽川委員長)と新・副音声ヒロイン(キスショット)でしたが、冷血篇の副音声は忍野メメ再登場あるも!ってことで楽しみにしておきましょーう。
(ちゅーかそれ以外の出番がヴァンパイアハンター3人かアララギさんしかいねぇ)
あ、そうそう。
エンドパートで羽川委員長の「体育倉庫にブラを忘れた」から、アララギさんの「僕が回収した」あたりの一連の流れがなかったんですけれど、そこまでやってこその体育倉庫シーンだルオぉお!?
画竜点睛を欠いたよシャフトオォォォォン!